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借地コンサルティング業務

借地関係について

借地権は奥が深く、思わぬトラブルが発生しがちです。
都内は特に借地案件が多く、借地権に強い弊社がクライアント様のお困りごとをサポートいたします。
弊社では代表が司法書士業務として扱ってきた借地案件のノウハウがございますので、あらゆる借地問題をスムーズに解決いたします。


以下では、借地権に関するトラブルを説明します。

①地主から借地を返してほしいと言われた

これはよくあるケースですが、借地権を相続することを地主に伝えると、「相続するならば借地を返してほしい」と言われることがあります。地主にとっては、土地賃貸借契約は亡くなった借地人と結んだもので、相続人とは結んでいないという認識だからです。返さないのであれば名義変更料を支払ってほしいという場合もあります。しかし、借地権の相続に地主の承諾は不要ですので、借地返還や承諾料を求められても、それに応じる義務はないので安心してください。

②共有名義で相続してその後の意見がまとまらない

借地権は相続すると地主に地代を支払う必要があります。また借地上の建物を増改築するときにも、第三者に売却するときにも地主の承諾が必要です。相続しても活用が難しいものなので、遺産分割協議のときには最後まで誰が相続するか、結論が出ないことが多いです。この時、とりあえずということで法定相続人全員の共有名義で相続すると後々のトラブルに繋がります。相続後に売却するには相続人全員の同意が必要ですし、さらに次の相続が発生してしまうと、収拾がつかなくなります。
そのため、借地権を含む不動産を相続するときには、単独名義にすることをおすすめします。

③借地権に高額な相続税がかかる

借地権の相続には相続税がかかります。借地権の相続税評価額は所有権の土地の60~70%程度になります。借地と建物が亡くなった方の自己居住用であれば、一定の要件を満たすことで小規模宅地等の特例によって課税評価額から80%という大幅な控除を受けられるので借地権が原因で相続税が高額になることはほとんどありません。
そうではなく、「亡くなった方は施設に入居していて、実際に建物に住んでいたのは相続人だった」というような特例の適用を受けられない場合、相続税も高額になってしまいます。
借地権は購入する際に銀行が住宅ローンを渋ることもあり、売却は可能でも、すぐに買主が見つかるものではありません。さらに地主に支払う承諾料もありますので、相続が発生する前から相続税について考えておくことが大切になります。


借地権の相続に関するトラブル

①契約書に記載のない更新料の支払いを求められた

借地権の更新料について、法律で定められてはいません。そのため借地契約で更新料の支払いを定めた条項がない限り、地主から更新料を請求されても支払う義務はありません。また、支払わなかったからといって更新拒絶されることもないので安心してください。
ただし、契約書に記載はなかったとしても後日更新料の支払いに合意していたり、過去の契約更新時に更新料を支払った実績があると、更新料の支払い義務が生じてしまうので注意が必要です。

②更新を拒否された

地主から「借地契約の更新はしないので、契約満了のタイミングで借地を返してほしい」などと、契約期間満了を理由に地主から借地の返還を求められることがあります。
しかし、借地上に建物が存在している限り、定期借地権を除き原則契約期間が満了となっても借地契約は更新されます。
そのため借地を返還する必要はありません。このことは借地借家法第5条で下記のように明確に規定されています。

「借地借家法第5条」
借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。

この「遅滞なく異議を述べたとき」というのは、ただ地主が事前に更新をしない旨を伝えればよいということではありません。地主に正当な事由がなければ、借地人に事前に通知していたとしても更新拒否ができるわけではありません。そして更新を拒否できる正当事由は、「地主と借地人、それぞれが土地の使用を必要とする事情」を主な理由として、権利金の支払いがあったか、地代の滞納がなかったか、建物の用途は事業用か居住用か、立ち退き料は妥当な金額で提供されるかなどの点から総合的に判断されます。

たとえ契約書に「更新はしない」と書かれていたとしても、借地権が定期借地権でなければ借地人に不利な特約として無効となるので安心してください。

③借地契約が切れていて、地主に借地の明け渡しを要求された

地主と良好な関係であったため口頭のみで契約更新していたなど、更新時に新しく契約書を交わさなかったため、書面上、契約期間が切れていることがよくあります。
賃借人と地主の関係が良好であれば問題にはならないのですが、例えば地主が底地を譲渡したり、亡くなったりして新しい地主になった場合、契約書の内容を確認したときに、契約が切れていることを理由に借地の明け渡しを求められる、といった事があります。結論から言いますと、これも借地を明け渡す必要はありません。

「借地借家法第5条の2」
借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。

つまり、契約期間が切れていても、借地上に建物があり、借地権者が住み続けていれば同一条件で契約が更新されたとみなされるというわけです。
これを「法定更新」と呼びます。
しかし、将来のトラブルを予防するため、地主との関係が良好であったとしても、更新時には常に新しい契約書を交わすようにした方が良いでしょう。


借地権の売買に関するトラブル

①借地権の譲渡を承諾してくれない

借地権を第三者に売買等により譲渡する場合、地主の承諾が必要です。一般的に地主に承諾料を支払うことで承諾をしてもらうこととなりますが、この承諾料を巡ってトラブルになることは大変多いです。相場は借地権価格の10%と言われていますが、これも個別事案ごと、地域ごとに大きく異なります。地主が承諾してくれない場合は裁判所にその承諾に代わる許可を求めることができますが、これは最終手段であり、以後の地主との関係を考えるとなるべく当事者の交渉のみで解決したいところです。

②借地権の契約書が見つからない

借地契約を交わしたのが父母や祖父母の代で、契約書を紛失しているというケースも多いです。借地権の売却には自身が借地権者であることを証明するために契約書が必要となりますが、見つからなくても、(1)地代を払っていること。(2)借地上の建物が借地権者名義で登記されていること。この2つを証明できれば問題ありません。
(1)は金融機関で振込していればその控えで足りますし、(2)は相続登記をすれば足ります。注意して頂きたいのは、相続登記をせず長期間放置しており、その間に地主が変わってしまった場合です。この場合、契約書を紛失している場合、借地権を新しい地主に対して主張することができません。
このため、相続登記はなるべく早く済ませるようにしましょう。


借地権の地代に関するトラブル

①地主から地代を上げたいと言われた

契約期間中、地主の事情が変わったり固定資産税が高くなったりといった理由で、地主から「地代を上げたい」と言われることがあります。
このとき、契約で「地代を増減しない」という特約がない限り、適正な地代とするための値上げであれば応じる必要があります。地代を増減させるための条件は借地借家法第11条で定められています。簡単にまとめると

  • 土地の固定資産税・都市計画税の増減があったとき
  • 地価の上昇または低下があったとき
  • 近隣の似た土地における地代と比較して不相当な地代となっているとき

この3つの条件にあてはまるとき、地主は地代の増額を借地権者に請求できます。

流れとしては、地主からの地代値上げ請求→当事者同士で話し合い→調停→訴訟という順番です。話し合いで解決できれば良いですが、訴訟までいってしまうと最終的にどのような賃料になったとしても地主との関係は修復不能となるでしょう。
なお、地主が値上げした賃料でないと受け取ってくれない、という場合は法務局の供託所を利用することで、債務不履行に陥ることを回避することができます。

以上のように借地権にはトラブルが伴うことが多いです。上記は、借地人に寄り添った内容でしたが、逆に地主側でも同様のトラブルが発生するというこになります。
弊社では豊富な借地案件の取扱実績がございますので、借地人様、地主様両方にとって最も良い解決策を提案させて頂きます。